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数々の会社がピンチを迎える中、ニトリの社長がなんとも大胆発言!
この中にはニトリの他にない戦略が隠されていた、、!?
その真意を暴いていきます
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ピンチはチャンス
「不況こそチャンス。うちは無借金で預金もあるから、攻めていくことができる」
4月6日、都内で開かれた決算会見の場で国内家具最大手・ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長はそう豪語しました
衝撃、、!
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が長期化し、新年度の業績予想を非開示とする企業が相次ぐ中、
“デフレの勝ち組”がぶち上げたのは、まさかの増収増益計画でした。
衝撃の会社計画
ニトリが同日発表した今2021年2月期の会社計画は、売上高6532億円(前期比1.7%増)、経常利益1133億円(同3.4%増)。
達成すれば、34期連続の増収増益となります
ニトリの決算発表当日
安倍晋三首相は東京都などに緊急事態宣言を発令する意向を表明。
消費環境の先行きに不透明感が高まる中で出した大胆な予想に、多くの小売り関係者らの間では衝撃が走りました
直近のニトリの業績はいたって順調!!
主力の国内既存店は機能性寝具などが牽引し、消費増税のあった前期も売上高は前年超えを維持しました
新型コロナの感染が広まった3月度(2月21日~3月20日)の売上高も、新生活需要で収納付きベッドや家電がよく売れ、前年同月度比で10.9%増を記録しました、、!
外出自粛ムードが高まった3月下旬以降は商業施設内の店舗で客数が大幅に減った一方、国内店舗の過半を占めるロードサイド店と、EC(ネット通販)の売れ行きは順調です
在宅勤務が広まり、オフィスワーク用の机やいすの需要が急増
自宅で料理や掃除をする時間が増えたためか、キッチン用品や簡易収納グッズの売り上げも伸びています
今期は新型コロナの影響が上期末まで続くとみて、国内既存店の売上高は通期で1.4%減を想定
新店の上乗せで増収を死守する算段だ。早期の為替予約で、海外からの商品の仕入れに伴う為替決済レートが1ドル104円(前期は107円)と円高になることを主因に、粗利益率は1.6ポイント改善する見通しを立てています
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似鳥会長は語る
「不況になれば建築費は半分になり、既存物件も手に入りやすくなる。来年から再来年にかけて投資が安く済む」
似鳥会長の強気発言と、このタイミングでの増収増益計画の発表の裏には、過去の経験に基づく自信が垣間見えます
北海道を地盤としていたニトリが本州での出店を始めたのは、バブル崩壊後に不動産価格が急落した1990年代半ば。
リーマンショックが起きた2008年には同業他社に先駆けて、5月から定番商品の値下げに踏み切りました
その後2年間は3カ月ごとに値下げ対象商品を拡充。不動産を安く仕込んで出店にもアクセルを踏み、国内家具市場での圧倒的首位を確立しました
2020年2月時点でのニトリの自己資本比率は82%。現預金も約1600億円と3年前比で倍以上に積み上がり、投資余力は十分
今後は建築費が下落するタイミングをみて、保有する土地などに店舗を建設していく方針です
さらに似鳥会長は「物流センターの土地や建物に投資するチャンスが来る」と強調します
ニトリは商品の輸入や配送に関わる物流業務の大部分を自社で実施します
出店拡大と並行して物流センターの再配置や設備の増強を加速し、ECとの連携も見据えた物流体制の効率化を進める構えだ。
ニトリの経営戦略
コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略の複合によるものと分析されます。 ニトリの最大の特徴はSPA(製造小売業)にあります。
企画から製造、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデルのことです。ニトリの場合、商品の企画、原材料の仕入れ、現地生産、輸入、販売、商品搬送までをほぼ自社で手掛け、物流センターや配送拠点までも自社で保有
卸や商社など中間流通を自社で手掛けることにより、余分なコストをカットし、製品に転嫁することができます。その結果、他社と同機能の製品が低価格で提供できる仕組みになります。
ニトリはSPAという差別化戦略をとることにより、同時にコスト・リーダーシップ戦略も実現しています。ニトリの優れている点は、単に安売り競争をするのではなく、同業他社にないSPAというビジネスモデルを構築、差別化することで、コスト優位性を確立している点です。
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ニトリの強み(競争優位性)
コストリーダーシップ戦略 -SPAと消費者ニーズの合致-
ニトリの強みは同社のSPAと消費者ニーズが合致した点にあります。
家具・ホームファッション業界において日本で先駆けてSPAを導入し、この分野の商品の低価格化を実現しました。
今まで割高とされてきたこの分野の商品の同機能低価格化は、多くの消費者ニーズに合致し、高い反響を呼びました。
その結果、2009年2月の決算において、22期連続の増収増益を記録。躍進を続けています。
差別化戦略 -高い利益率とライバルの不在-
ニトリの強みとして高い利益率が挙げられます。
平成22年2月決算において、粗利益率が53.9%、経常利益率が16.5%と驚異的な数字を記録しています。家具・インテリア業界の平均が粗利益率が40%、経常利益率が5%前後ですから、収益性の面で他社を大きく引き離しています。
高い収益性を確立している理由は、やはりSPAにあります。
企画から販売までをほぼ自社で手掛けることにより、余計な中間マージンを排除。さらに徹底的なコスト管理をすることで高収益を実現しています。
また、ニトリは家具・インテリアを販売する会社ですが、製造小売業に分類され、他の家具・インテリア販売会社とは一線を画しています。
国内企業において家具・インテリア分野でSPAを実践し、全国的に展開・成功している企業は今のところ見当たりません。
厳密な意味でのライバルと言えば、世界展開を仕掛けるイケアとなります。
イケアはニトリ同様、企画から製造までを手掛けるSPAで価格帯や商品などで競合となります。したがって、ニトリの実質的なライバルはイケアとなります。
高い収益性と競合の少なさは、当然のことながら高い成長を産みます。
22期増収増益も納得の結果と言え、今後もさらなる成長が期待できるでしょう。
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大規模な値下げは実施しない
一方、商品施策ではリーマンショック時に実施した大規模な値下げは行わないようだ。「リーマンショックのときは全体的に価格が下がりすぎて、安物が多いというイメージがついてしまった」(似鳥会長)。
現状の価格を維持しながら各商品の品質・機能を高めるほか、家具とインテリア商品を組み合わせた売り場提案やECとの連携施策を強化するといいます。
不況下でニトリの競争力が高まることは間違いないですが、感染症の拡大という未曾有の事態なだけに、今期の増収増益の達成に向けては懸念も残ります
同社は商品の約9割を東南アジアや中国など海外で生産しています
現状、サプライチェーンに大幅な遅延はないといいますが、感染対策をめぐる各国政府の方針次第で、生産や輸送に影響が出る恐れもあります、、
また、ニトリが業績予想を公表した時点では、緊急事態宣言の対象となる地域や業種に関する情報が明らかになっていませんでした
新生活需要で書き入れ時となる4~5月の販売への打撃が大きければ、会社の想定以上に売り上げが減少する可能性もあります
「リーマンショック以上の世界的大不況が起きる可能性がある。ピンチをチャンスに変える準備はしてきた」と断言した似鳥会長。国内の消費環境にかつてない危機的な状況が続く中、業界の盟主の胆力が試される。